ノウハウ直接知財 直接直接知財と間接直接知財

これはもちろん一般的な傾向に過ぎないのだが、トリガー直接知財は直接直接知財で流通されることが多く、娯楽直接知財は間接直接知財で流通されることが多く、ノウハウ直接知財の流通形態はその中間である。
ただし、これらの傾向を導き出す母数には直接直接知財である日常会話を含めていない。日常会話はトリガー直接知財でもノウハウ直接知財でも娯楽直接知財でも、どのような目的の直接知財においても巨大なシェアを有している。この巨大な日常会話を母数に含めてしまうと、どの直接知財においても直接直接知財で流通されることが多いという間抜けな分析結果しか出せないだろう。
トリガー直接知財はその性質から速報性を要求されることが多い。トリガーとなる情報は多岐に渡り大量に存在するが、それらの情報のうち重要度が高いと思われるものは新聞や書籍、手紙などの間接直接知財に仕立て上げられるだろう。しかし重要度の高さを認識できないものまでわざわざコストをかけて間接知財に仕立て上げて発信することは現実的ではない。
娯楽直接知財は逆に速報性をほとんど要求されない。そして大量発信することで発信者の利益は大きく向上するために、大量発信に向いた間接直接知財が流通媒体として好まれる。大量流通が見込めない場合や、クラシックコンサートのように間接直接知財にするときの情報の劣化を嫌うもの、観客の反応に合わせて演じ方を調整する舞台などでは直接直接知財が好まれることもある。
さて本題のノウハウ直接知財は直接直接知財と間接直接知財の混合状態で流通されることが多い。教科書やマニュアルといった間接直接知財とともにそれらを口頭などで説明する直接直接知財が併用されることが多い。
直接直接知財を使うことで「受信の失敗を防ぐ」「情報の精度を上げる」「多品種少量発信コストを下げる」ことができ、間接直接知財を使うことで「情報の蓄積を容易にする」「情報の完成度を高める」「大量発信コストを下げる」「取引の無効化を容易にする」ことができる。


受信の失敗を防ぐ
すでに何度か述べているようにノウハウ直接知財の取引においてはインタラクティブな取引によって受信の失敗を防ぐことができる。受信者は受信に失敗したことを発信者に伝えることができ、発信者は受信者の要求に応じて情報の再発信を行うことができる。


情報の精度を上げる
間接直接知財は情報の媒介に使用する物質財によって情報の伝達量が制限される。文字で表せば同じ内容であっても、表情や図表といった視覚情報や抑揚や雰囲気といった音声情報などが制限されてしまうからだ。もちろん文字情報だけの直接直接知財もあるし、ビデオテープを利用した間接直接知財ならば大きな情報伝達量を持っているので「受信の失敗を防ぐ」のように決定的なものではなが、直接直接知財は間接直接知財に比べて情報の内容に対する情報量の比率が大きいという傾向にあるといえる。
また、直接直接知財は情報の完成度をある程度犠牲にすることで低コストで大量の情報を伝達することができる。このメリットは多くの内容を伝えることに向けられることもあるが、ほとんどの場合は同じ内容を繰り返したり言い直したりすること、つまりこれも内容に対する情報量の比率を高めることに使われる。
この特徴により伝達される情報の精度が高まり、受信者はより容易に情報の間接知財化を行うことができるようになる。


多品種少量発信コストを下げる
一般教養のような間接知財であれば需要が大きいために大量生産の間接直接知財を使った流通が効果的だが、大学での専門教育や企業内でのOJTなどでは受信者の数が少ないために間接直接知財の製造コストを負担するのは割に合わない行為になってくる。またインタラクティブな取引のように、事前にノウハウ直接知財が用意されていなかったものを急遽生産して発信するときなどは初期コストが小さい直接直接知財による発信が有利である。


情報の蓄積を容易にする
間接直接知財は物質財であるため、それを保有し続けることで主体外部に情報の蓄積・保存を行うことは非常に容易である。もちろん直接直接知財も受信者が録音するなどの方法で主体外部に蓄積することは可能であるが、間接直接知財は「冗長性の排除による情報のコンパクト化」「情報の完成度」「取引時の情報が劣化しない」という特徴の分、有利になっている。


情報の完成度を高める
ノウハウ直接知財を受信時に場違いな説明によって逆に情報の理解に困難を来たした経験が誰にでもあるだろう。逆に発信者は伝えておくべき情報のいくつかを発信し忘れた経験を持っているはずだ。ある意味即興で生産される直接直接知財に比べて、間接直接知財は発信前に発信者が情報をもう一度チェックすることでこのような失敗を事前に回避することができる。このように完成度が高められることで受信の失敗を回避しやすくなる。


大量発信コストを引き下げることができる
直接直接知財のメリットである多品種少量発信コストの低減の反対の効果である。少品種大量発信ならば、間接直接知財生産の初期コストを負担しても十分に割が合うことになる。


取引の無効化を容易にする
人間の記憶に蓄積された情報に関しては取引を無効にすることが難しい。しかし間接直接知財は物質財なので、記録媒体の回収という取引の無効化は可能になる。問題は受信者が記憶として蓄積してしまった情報の回収はやはりできないことなのだが、受信者は間接直接知財を外部記憶として保持しているのならばその部分だけでも情報の回収は成功する。そして多くの場合、受信者の記憶に蓄積された情報は間接直接知財のように完成度が高くもなく、劣化を防ぐことも容易ではなくなる。


混合流通
ノウハウ直接知財の流通において多くの場合、直接直接知財と間接直接知財の混合流通が行われる。これは互いの欠点を補完しあうことで受信の失敗を防ぎつつ、流通コストを低減させることに役立つ。
学校教育では間接直接知財としての教科書と直接直接知財としての口頭での授業を併用するし、企業でのOJTでもほとんどの場合は簡単なマニュアルを用意しておくことが教育効果を高めることになる。
しかしこれらは結局のところ補完にすぎず、どちらか一方だけしか使用しなくても取引の目的は完遂できる。
直接直接知財だけの場合、受信者が完全に受信に成功するまで発信者が情報を発信し続ければいい。関節直接知財だけの場合も大量に情報を受信することで、受信者は受信の失敗を補正できる。要は発信者もしくは受信者が大きな取引コストを負担することを許容するならばいくらでも方法はあるということだ。