2008-01-01から1年間の記事一覧

安く売れ、高く買え 後編

移行期の混乱 商品の調達範囲の拡大期には調達範囲の拡大とプレミアムの付加のタイミングにギャップが発生する。プレミアムを付加するためには倫理の弱体化が必要だが、倫理を弱らせるためには「倫理が有効でなくなる状況」つまりは商品調達範囲の拡大が必要…

安く売れ、高く買え 中篇

ここからが本題というわけでもない 前説が長い。これは僕の悪癖だ。 前説が長い理由の一つは前述の解説停止をできるだけ避けたいと考えているからだ。何度も言うがこれは「3歩先の経済学」なので、「1歩先の世界」と「2歩先の世界」を解説しないと誰もつ…

安く売れ、高く買え 前編

このエントリーへのコメント用に書いていたのだが、あまりにも長いので自分のブログにエントリーすることにしました。 woodさんのエントリー自体はまあまああっていて経済学部の大学生くらいなら十分に合格点がもらえます。でももう少し進歩した解釈を紹介し…

ゆずれないものの交渉 その8

今日のまとめ 戦争の是非を問うのは難しいが、世界中のほとんどの人が全面核戦争だけはなんとか回避したいと願っていることは確かだろう。 戦争に関する交渉は最終的に全面核戦争という終着点が見えているために、誰もがどこかでチキンになることを選ぶ。 イ…

ゆずれないものの交渉 その7

今日のまとめ イラク戦争には「開戦するべき」「開戦するべきでない」の両方に十分な大義名分がある。 どっちにしても大量の死者が出る。 空想の兵器 捕鯨問題は前述のように現代の倫理を適用すれば「どうするべきか」の答えがはっきりと出る。もちろんその…

ゆずれないものの交渉 その6

今日のまとめ 生理的嫌悪を理由としていては捕鯨をやめさせることができないから、環境保護という大義名分を持ち出した。 大義名分を戦わせている裏でコスト競争も行われた。しかし倫理は金で買えないために双方がコスト度外視の行動をとった。 コスト度外視…

ゆずれないものの交渉 その5

今日のまとめ ようやく本題(ケーススタディー)のとっかかり。 基本的に誰もが自分のやりたいことをする自由を持っている。でも他人の自由はキモチワルイから制限したい。制限するためには正当な理由(正義)が必要だ。 正義は時代によって変化してきた。こ…

ゆずれないものの交渉 その4

今日のまとめ 倫理は対立する別の倫理を弾圧しようとする。しかしいろいろな方法でその弾圧に対抗することができる。その結果、倫理は「互いに弾圧しあわない」という倫理でもって停戦条約を結んだ。 しかし心の底では互いの倫理をキモチワルイと感じている…

ゆずれないものの交渉 その3

今日のまとめ 多くの古い倫理が失われているが、新しい倫理が増えていて、結局は倫理の総量は増えている。倫理は他者から押し付けられることが多いが、新しい倫理は人間の自由を奪ってでも押し付けられるべき正当な理由を持っている。 それでもやはり生理的…

ゆずれないものの交渉 その2

今日のまとめ 経済学の基礎にある概念の説明。 人はそれぞれ違った価値観を持っているが、経済学ではそれらの価値観の善悪を問うことはしない。というか善悪を判断するような機能を経済学は有していない。 だいたい人間の欲望は多様すぎてそれらを逐一判断す…

ゆずれないものの交渉 その1

序文とまとめ 交渉というものを経済学で解き明かそうとすると、いくつもの壁に突き当たります。もしも経済学がお金だけを扱うものだったとしたらこんな壁などあろうはずがありません。冷徹に計算を進め、交渉を行う前から結果が見えることになります。しかし…