2006-01-01から1年間の記事一覧

トリガー直接知財 情報の取引 その11

発信者の意図した行動を受信者にとらせる 他人を思い通りに動かしたい。これは普通の願望だが、実は普通の願望ではない。正しい願望は「他人を自分の利益になるように行動させたい」だ。自分に無関係な行動を他人にとらせたところで、自分の効用にはなんら影…

トリガー直接知財 情報の取引 その10

その10って、どこまでつづくんだろう・・・ 発信を目的とした情報取引 ここまで見てきた情報取引は基本的に受信者が情報を得たいということが前提になってきた。しかし受信者はその情報が欲しいとは思っていないのに発信者が情報を発信することを欲し、発…

強制できることとできないこと

軍事力の実在について疑問を持ったことがある。 最初の疑問は僕が中学生のときだった。当時は米ソ冷戦の真っ最中で、100メガトンの水爆を搭載した何千発もの大陸間弾道弾の発射準備が整っていた。人類を何回も絶滅できるだけの破壊力を持っていると言われ…

トリガー直接知財 情報の取引 その9

・収集・蓄積した情報から新しい情報を生産し、その情報を発信する この種類の情報流通業者の代表は新聞などのマスコミだ。しかしこの流通業者には本当に多くの種類が存在し、マスコミだけを研究して情報流通業者を理解したと考えるべきではない。 ・情報通…

「半落ち」は最後まで半落ちだった

DVDを借りて寺尾聡主演の「半落ち」を見た。丁寧に作られた映画で「明らかに手を抜きやがって」という部分のない、いい映画だった。少し冗長だったが、映画館で見れば多分ちょうどいい長さなのだと思う。 ネタバレ注意報 しかし、物語のテーマに関しては…

トリガー直接知財 情報の取引 その8

・情報を改変せずに流通する いわゆる通信産業がこれにあたる。特にデジタル技術や無線技術を利用した産業は近年、情報革命という名前の偉大な技術革新が行われ産業の花形となっている。 しかしこの産業は第四次産業ではない。 巷間ではこの産業こそが情報産…

トリガー直接知財 情報の取引 その7

情報取引の市場形成 情報取引におけるサドンデスのゲームで、ゲームが終了する条件にはいくつかがあったが、今回は双方の価格提示が折り合わない場合について考えてみよう。 価格形成のメカニズムについてはほとんど通常の財と同じである。情報取引の場合、…

トリガー直接知財 情報の取引 その6

・情報の対価に情報を支払う 情報取引において発信者と受信者では適用されるゲームのルールが違うことはすでに述べた。この相違を克服するためのいくつかの方法を説明してきたが、いくつか書き残した方法がある。 そのなかで重要なものにこの取引で発信者と…

トリガー直接知財 情報の取引 その5

・サドンデスのゲーム 無限も永遠もないことは経済学のルールの中でも特に重要なものだ。もちろん理論を立てる上では永遠を規定する場合もあるが、それがそのまま実際の世界に応用できないことは経済学者ならば誰でも心にとどめておかなければならないことだ…

トリガー直接知財 情報の取引 その4

2.一方のプレイヤーのみが終了のタイミングを知っているもの このシチュエーションはさらに二つに分けられる。一方のプレイヤーが終了のタイミングを知っていることを、もう一方のプレイヤーが知っているかいないかである。もうしもう一方のプレイヤーがそ…

トリガー直接知財 情報の取引 その3

一回きりの情報取引においては現金での対価の支払いが行われにくいことは前回説明した。現金で情報取引が行われるならばそれにこしたことはないのだが、取引を行う双方の信頼関係がない限り難しい。 物質である商品の場合は、双方が取引を無効にすることがで…

トリガー直接知財 取引ゲーム その2

まず最初は一回きりのゲームを見てみよう。この場合、双方とも取引においてできるだけ自分の取り分を増やそうと努力する。そのために少しでも利益が上がるのならばゲームが成立するように行動するだろう。 情報の価値を最も強く認識しているのは多くの場合が…

いじめ放置のメリット

最近、いじめが社会問題化している。 逆説的な言い方だが、僕はこの現象をいじめが終息化への道をたどり始めた予兆だと見ている。終息といってもいじめがゼロになるわけがない。人間が社会に所属している限り絶対になくならない。 これはたとえば交通事故の…

トリガー直接知財 取引ゲーム

まずおさえておくべき基本は、受信者は価値の高い情報を手に入れたいと考え、発信者は自分の持っている情報を高く売りつけたいと考えているということだ。しかし受信者は発信者の持っている情報の中身が分からないためにどれだけの対価をつけていいかが分か…

トリガー直接知財 情報の蓄積と行動

受信者に何らかの行動を起こさせる信号としての情報が直接知財である。 社会に流通している直接知財のほとんどはトリガー直接知財であるが、概念が若干抽象的なためとっつきが悪い。性質の分類に基いて代表例を挙げていきたい。 行動を起こさせるための発信…

正倉院展

奈良国立博物館の正倉院展を見てきた。最近、古代史における産業構造を調べているので、奈良時代の産業の技術や交易状況を知る手がかりになればと考えたのだ。本を読むことも大事なのだが、実物を見ることによって得られるものは大きい。 今年は非常に来場者…

うまいもんはうまい

週刊スピリッツの「美味しんぼ」というマンガに最近納得がいかない。 頑固親父が揃い踏みでおいしい料理を作って食べて舌鼓を打つという姿はあまり好きではないのだが、あれはあれで固定ファンのついている芸風なのでよしとしよう。なんにせよ、主役の料理が…

不思議な韓国

うーん。ドクトリンの説明などしていたら長くなりすぎた。 朝鮮半島の時事ネタと言えば北朝鮮の暴走が最初に頭に浮かぶが、ここではあえて韓国の迷走ぶりを考察したい。いや、あえてと言うよりも現時点では北朝鮮よりも韓国のほうが不思議な行動をとっている…

民主主義を担保するもの

民主主義とは近代社会における相当に貴重な発明であり、人類の尊厳であることは多くの人が同意してくれるであろう。しかし、民主主義を実現させるためには暗殺を筆頭としたテロリズムの手段の存在が不可欠であることは理解されていないことが多い。ここでは…

報道の自由と政府命令

NHKのラジオの電波の一つに海外向けの短波放送がある。そこで拉致問題を重点的に放送するように政府が命令しようとしている。そしてその命令が「報道の自由を脅かすものだ」として反対している人たちがいる。 状況をまとめると以下のようになる。 ・NH…

地方空港改造計画

注意:この文章の内容は綿密な取材に基いておらず、憶測で書かれています。この文章は「どのようにものを考えればいいのか」の検討のみを目的としていることを承知ください。 地方空港にドライブがてら寄ってみた。 近隣の大都市圏から特急で2時間ちょっと…

トリガー直接知財

まずは自動機械というものを考えてみよう。 この自動機械は自動ではあるが自律ではない。こちらが望むようにしか動いてくれない機械だ。望むように動かすためには「望むように」を解釈するところから始めなければいけない。「望むように」とは「望むとき」に…

足りぬ足りぬは工夫が足りぬ

あまりの忙しさに時間が足りなくて苦しい思いをすることは、人間誰しも経験していることだろう。そしてそんな状態が一ヶ月、半年、一年と続くようになると、ストレスが溜まりまくり、誰かに愚痴を言わずにはおれなくなるものだ。 たいていの愚痴が「相談した…

言論の自由の重要性

人はみな自由に生きるべきだ。 すでに書いたことだが、人間は根源的に自由である。やりたいことをやりたいようにやることができるし、それを阻もうとする力に対してさまざまな手段で対抗することができる。主体間の自由や権利が衝突しても、妥当な妥協を成立…

全体主義という理想の功罪

全体主義は一つの理想である。 理想はある価値観にとっての大きなメリットとそれを保証するための理論から成り立つ。そして多くの場合、現実という壁に阻まれて時代の波の中に敗れ去っていくものでもある。人々は、最初はメリットの大きさに惹かれ、そして次…

人類の曙

第四次産業は、四番目に発見された産業形態であるため、第四という名前がつけられているが、産業の機序から見ると第一次産業の亜種もしくは第0次産業と呼ぶべきものである。そして第四次産業は人類の草創期から人類の活動と共にあった。決してコンピュータ…

間接知財の所有面からの分類

間接知財は非常に目に見えにくい資産である。直接知財と違って、誰がどんな間接知財を持っているか、それどころか自分がどのような間接知財を所有しているかすら完全には把握できない。いや、ほとんど把握できないと言ってもいいくらいだ。 この問題は第四次…

間接知財とは その2

「その2」と書いているが、これは本来「その1」の内容だ。ちと手違いで昨日の話を先にエントリーしてしまった。なので、昨日の文を「その2」として、今日の文を「その1」として解釈して欲しい。間接知財は、その知財の内容が消費者に直接伝えられる形で…

間接知財とは

間接知財は少しとっつきの悪い概念である。 間接知財は基本的に目に見える形では存在していない。多くの間接知財が直接知財に変換され複製・保存・流通が行われているが、それでもそうやって変換されているものは間接知財のごく一部分に過ぎない。また、間接…

直接知財の流通面での分類

すでに軽く触れているが、直接知財は流通形態によって二種類に分類される。 直接知財そのものだけが流通される直接直接知財と、直接知財を記録した工業製品が流通される間接直接知財である。 昔はこの二種類の直接知財は互いに対立する性質を多くもっていた…