病院システム近代化計画 その2

名誉があればご飯3杯はいけるね 医者がその労働の対価として名誉を要求していることは前回に述べた。 僕は報酬として名誉を求める医者を高慢だと非難しない。名誉を欲することは人間として普通の欲望だし、僕も少なからず名誉が欲しいと感じている。そして…

病院システム近代化計画 その1

前書きとしての科学的態度 タイトルには少々の嫌味を混じらせていますが、僕の目から見ると病院のシステムは前近代的に見えます。しかし断言はできません。僕には医者ではないし、医者の知り合いすらいません。数年ほど仕事で病院相手の営業をしていた経験し…

病院の待ち時間を減らしてみよう

少し前に病院勤務医のNATROMさんを少し批判してしまいました。 NATROMさんはなぜ待ち時間が長いのかの説明はできましたが、待ち時間を減らすための具体的で効率的な提案はできませんでした。NATROMさんにマネージャーとしての視点が備わってなかったことが原…

科学の漸近線 その3

3部作でした。今回で終了。 分割して統治させろ 科学は世界をシミュレートすることを目的としている。現在の世界を理論というブラックボックス(関数)に入力すると未来の世界が予言されることが究極の目標だ。逆に現在の世界を逆関数に入力すると過去の世…

科学の漸近線 その2

飛び石戦略 社会科学(そして自然科学の大部分)が複雑性の問題や道徳上の問題から、科学的真理への直接アプローチが現実的でないことは示した。だから我々は科学的思考などの間接アプローチでもって科学的真理へと近づかなければならない。その一つの方法が…

科学の漸近線 その1

前回に引き続いて科学的な態度に関しての話です。最初はここでのコメントに対する反論を書いていたのですが、あまりにも長くなりすぎたのでこちらに書きます。 今回は一応まともなことを書いているつもりなのですが、少々前衛的なので多分いろんな人に怒られ…

科学的思考

ちょっと他人の論争に口を挟んでみました。 どっちにしろどっかで科学的思考について書かなきゃならんと思ってたのでネタにさせていただきます。 池田氏*1が愛国心の進化というエントリーで聞きかじりの知識をちょっと得意げに披露したのをNATROMさんが目ざ…

娯楽直接知財 その4

娯楽直接知財の再受信 後編 再受信時の効用逓減 娯楽直接知財の多くは完全な形で蓄積することが困難なために、受信と同時に効用を利用するしかない。不完全な形でなら蓄積は可能だろうが、そのように蓄積された娯楽直接知財の効用は大きく低下してしまう。そ…

娯楽直接知財 その3

娯楽直接知財の再受信 前編 娯楽直接知財は何度受信しても効用を発揮する 一番身近な例は音楽CDだろう。もし一度受信しただけで満足するのならば、わざわざ高いお金を出してCDを買う必要などない。ラジオで一度聞けば十分だからだ。しかし実際は多くの人…

娯楽直接知財 その2

効用の発生源 「宝くじが当たりました」という情報は娯楽直接知財なのだろうか。 小説の一文にこの言葉があったときと、実際に当選していて売り場の窓口で聞いたときの喜びには大きな違いがあるだろう。そして前者では言葉そのものに効用を感じたのだが、後…

娯楽直接知財 その1

娯楽直接知財の大きな特徴は情報の受信の目的にある。トリガー直接知財、ノウハウ直接知財の受信目的は受信者の行動の判断に使用することであったが、娯楽直接知財は受信だけが目的となる。別の言い方をすれば、他の二つの直接知財は受信後の行動によって受…

ノウハウ直接知財 与太理論の流通 その3

与太理論駆逐共同体 今日の日本では「ネット世論」というものが形成されており、これらの一部は与太理論駆逐共同体として機能している。機能はおおまかに分けて三つになる。「与太理論そのものの論破」「与太理論発信者の与信情報の発信」「与太理論に代わる…

与太理論駆逐共同体

インターネットの世界で、特に匿名掲示板において与太理論駆逐共同体とでも呼ぶべきものが発生している。「ネット左翼」から彼らは「ネット右翼」とレッテル貼りされて非難されているが、「左翼から見たら垂直尾翼も右翼に見える」という状態である(もちろ…

ノウハウ直接知財 与太理論の流通 その2

与太理論を発信する動機 トリガー直接知財での発信を目的とした情報取引については「受信者に発信者が意図した行動をとらせる」「受信者に情報を蓄積させる」「発信したと言う事実を残す」という目的で行われている。そしてノウハウ直接知財においては「受信…

ノウハウ直接知財 与太理論の流通 その1

このシリーズの内容の半分は愚痴である。 世の中にはうんざりするほどガセネタが流通している。これらのガセネタのうちのいくつかは発信者の能力不足によって運悪くガセネタしか作成できなかったというものだ。例えば19世紀の大科学者であるニュートンはニ…

共同体とノウハウ直接知財 その2

ノウハウ直接知財作成用の情報を収集する 受信者がどのようなノウハウ直接知財を欲しているかを知らなければ適切なノウハウ直接知財の生産は難しい。これを知らなければ基礎学問や抽象論、一般論としてのノウハウ直接知財しか作れない。しかしほとんどの場合…

共同体とノウハウ直接知財 その1

共同体内でのノウハウ直接知財の流通には二種類がある。すでに存在するノウハウ直接知財の取引と、ノウハウ直接知財の生産を依頼して生産されたものを取引するものだ。そして後者には生産を依頼したが結局生産に失敗して取引が成立しないものも含まれる。こ…

ノウハウ直接知財 直接直接知財と間接直接知財

これはもちろん一般的な傾向に過ぎないのだが、トリガー直接知財は直接直接知財で流通されることが多く、娯楽直接知財は間接直接知財で流通されることが多く、ノウハウ直接知財の流通形態はその中間である。 ただし、これらの傾向を導き出す母数には直接直接…

直接直接知財と間接直接知財 その2

ノウハウ直接知財のこの先の説明をするためには、直接知財の流通形態、つまり直接直接知財と間接直接知財のより深い説明をしておかなければならない。 本来、以前にこの分野の説明をしたときにこの項も説明するべきであった。しかし今になってようやくこの項…

ノウハウ直接知財 ノウハウ直接知財の取引 その6

取引の無効化 ノウハウ直接知財もトリガー直接知財と同じく、情報財としての特徴、つまり取引の無効化が不完全にしかできないという性質を持っている。しかし、この特徴はトリガー直接知財の場合とは微妙に発現機序が違っている。 まず最初にノウハウ直接知…

ノウハウ直接知財 ノウハウ直接知財の取引 その5

同じ情報を陳腐化させずに大量に発信できる ここまで述べてきた理由によりノウハウ直接知財の受信コストが大きいことを理解してもらえたと思う。そしてこの高コストにより表題の「同じ情報を陳腐化させずに大量に発信できる」という特徴が浮かび上がってくる…

ノウハウ直接知財 ノウハウ直接知財の取引 その4

インタラクティブな取引が効果的である ノウハウ直接知財の取引の目的は、そのノウハウを利用するために受信者の主体内に間接知財を生成することにある。「1+1=2」という単純なノウハウ直接知財ならば、直接知財のままで主体内に蓄積することは可能だが…

ノウハウ直接知財 ノウハウ直接知財の取引 その3

受信コストが比較的大きい 「聞くだけはタダ」「知らないより知っているほうがトク」という常識は妄言に過ぎない。情報を聞くこと、情報を理解すること、情報を記憶し続けること、それぞれに心的・肉体的なコストが発生する。もちろん発信者に情報の対価を支…

ノウハウ直接知財 ノウハウ直接知財の取引 その2

情報取引と効用の発生の時間が大きく違う ノウハウ直接知財による効用 「効用とは何ぞや?」という話を始めると最終的には不可知論になりかねない。他人の心の内面は完璧に知ることはできないし、自分の心の内面だってたいていの場合は正確には分からないも…

ノウハウ直接知財 ノウハウ直接知財の取引 その1

ノウハウ直接知財も情報であり、トリガー直接知財で説明をしたものと同じ情報取引に関するルールが適用される。いくつかの部分ではノウハウ直接知財に特有のルールが適用されることもあるが、それらも本質的には情報取引の基本ルールの応用に過ぎない。ここ…

ノウハウ直接知財

やったー!新章突入だ! 極端な言い方をすれば、ノウハウ直接知財は「蓄積されることを主目的としたトリガー直接知財」だ。また、蓄積されるだけが目的で行動のトリガーになることを想定していないノウハウ直接知財は娯楽直接知財と言ってもいい。結局、直接…

お金なんて幻想だよ。効用が取引されてるだけだよ派(新古典派的唯効用論原理主義)

生産性をめぐる賃金水準議論が熱くなっている。 それに触発されて少し斜めから見てみた議論を展開しようと思う。 山形浩生氏の書く「賃金水準は、絶対的な生産性で決まるんじゃない。その社会の平均的な生産性で決まるんだ」(文字色・文字サイズ原文ママ)…

トリガー直接知財 信用醸成 その12

発信受信能力の強化 実はこの項は書きたくなかった。ここまでは誰でもが実現可能な、もしくは誰にでも実現可能にするためのマニュアルだったのだが、今回はできない人間には絶対にできないことを書くからだ。 「情報の発信能力や受信能力を高めることにより…

トリガー直接知財 信用醸成 その11

「罠の回避の話は次回です」と書いておきながら、その話の前提となる共同体の説明が長くなったので、結局次々回になってしまった。 共同体を用いた信用醸成の罠の回避 「共同体は協同作業によって利益を追求する」 この性質を利用することにより「常識では推…

コラム 株式会社的共同体

僕のことを「超個人主義者」と見なす人は多い。しかし実際の僕は、人が生きていくためには共同体の存在は絶対に必要だと思っている。ただ共同体の概念に関して、世間一般の常識とは少しずれているだけだ。きっとそれはドーキンス博士の影響だと思う。 ・ドー…